【解決事例】早期に調停手続きに移行することで、不貞行為に及んだ夫のみならず、不貞行為の相手方からも慰謝料を早期に回収できた事例

依頼者 女性 20歳代  専業主婦
相手方 夫 会社員 年収300万円
財産 共有財産なし
子供 一人
離婚理由 夫の不貞
合意内容 1 当事者の離婚
2 養育費として3万円支払う。
3 慰謝料として200万円を、不貞相手と連帯して支払う。
4 年金分割

依頼のきっかけ

 依頼者である妻は、同居後間もなく、子供が生まれましたが、育児について夫の協力が得られずに、大変な状況となりました。育児についての理解の違いから、夫婦関係も悪くなってきました。ある時、妻が家の掃除をしていると、女性物の化粧品を購入したレシートが発見されました。身に覚えがなかったので、夫に問い詰めたところ、夫は好きな人がいることを認めました。

妻は、何度か復縁を試みましたが、夫は、好きな人と一緒になることを望み、復縁を拒否しました。妻の復縁の努力も功を奏することなく、夫が出ていく形で別居となりました。
離婚の話を続けましたが、夫が慰謝料の支払いを拒否しましたので、弁護士への依頼を決意しました。
 

解決に至るまでの経緯

 弁護士としては、まず、夫からのヒアリングを行う必要があると考えました。慰謝料の支払いの意思を確認するためです。夫からのヒアリングを行ったところ、夫は不貞関係にあることを認めましたが、資力がないことを理由に支払えないと回答をしました。

そこで、支払ってもらえない場合には、調停、裁判となること、場合によっては差し押さえ等の手続きに移行をすることになることを説明するなどして、支払いを求めました。
夫は、借入をするなどして、100万円は準備できるが、それ以上は支払えないとのことでした。
しかし、支払い方法及び時期などの点で、協議がまとまらなかったので、直ちに、調停に移行をさせ、夫に対する離婚調停の申立てとともに、不貞の相手方の女性に対して、慰謝料請求調停の申立ても同時に行いました。
 調停では、夫は従前どおり、100万円しか準備できないとのことでしたが、不貞の相手方の女性に対して、慰謝料請求をしたことで、不貞の相手方の女性からも100万円を準備させることに成功し、合計して、200万円を支払うということで合意が成立しました。
 

解決のポイント

 不貞行為を理由に、慰謝料請求をする場合、まず、証拠関係を整理することが重要です。仮に、協議離婚の話し合いの際に、相手方が、不貞関係を認めていたとしても、調停や訴訟の段階で、突如、否認をしてくることがあるので、油断はできません。そのため、仮に交渉に入る段階でも、証拠関係を整理していくことが重要です。
今回のケースでも、依頼者である妻から、証拠関係などのすべての資料を提出してもらい、証拠関係を整理しました。そのうえで、交渉でも夫に不貞関係を認めてもらうことに成功をしました。
 次に、証拠関係十分だとしても、支払い能力があるのかどうかが重要です。お金がないと開き直ることを「手元不如意の抗弁」といいますが、これは、法律上の抗弁でも何でもありません。このような抗弁に対する対抗手段として、調停、訴訟、強制執行になることをしっかりと説明をする必要があります。今回のケースでも、慰謝料の支払いは免れられないということを説明し、まとまった金額の準備に成功をしました。

弁護士の目

 弁護士に依頼後、どのような手続きをとるべきかについては、事案ごとにケースバイケースとなります。相手が離婚を強硬に拒否をしている場合、あるいは話し合いが不可能と思われる場合には、調停・訴訟と手続きを進めていく必要があります。
また、当初、選択した手続きが解決に向かないと判断をした場合には、素早い対応が必要となります。
本件でも、不貞行為を認めている事案でしたので、交渉で解決をするべき事案でした。そのため、初動としては、相手方の夫に来てもらい、慰謝料の支払いの有無を確認しました。交渉では、慰謝料の支払いに応じることができるが、その金額は相場よりも低い金額であることに加え、依頼者である妻の納得できる金額ではありませんでした。
 そこで、迅速に、調停の申立てを行い、不貞の相手方を手続きに引き込むことで、手続きがスムーズに進むことに成功しました。 
 また、相手方が、「お金がない」「支払えない」と回答をしたとしても、諦めてはなりません。支払いを拒否した場合に起こり得る結果を説明するなどして、相手方から、金銭の支払いを引き出すことが可能ですし、そのような戦略もあり得るからです。 
 いずれの場合でも、どのような手段が最適かどうか、専門的及び経験に基づく判断が必要となります。

 
 
 

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