【解決事例】婚姻関係の破綻を理由として、慰謝料の請求が棄却された事例

依頼者 男性 50歳代  会社員 年収1000万円 
相手方 妻 パート 200万円
財産 共有財産なし
子供 一人(事件の途中で成人)
和解内容 1 親権者は母親。
2 財産分与として、100万円を支払う。
3 慰謝料請求は認められない。
4 年金分割

依頼のきっかけ

 依頼者である夫は、結婚10年目でしたが、妻である相手方との生活が難しいと考えるようになりました。理由としては、妻のきつい性格と暴言でした。

 夫は徐々に妻から疎外をされるようになり、夫婦生活は段々と実体のないものとなっていきました。具体的には、寝室も別々、居住スペースも別々と、家庭内別居に近い状態となりました。夫婦間の会話もほとんど存在していませんでした。
 

 夫婦関係がすさんでいく中で、夫は、ある女性と男女の仲になりました。家庭がすでに崩壊をしていたため、家庭を顧みることができなくなってしまったのです。

 その後、別居となったため、夫は妻との離婚の交渉に入りました。交渉段階から、夫は男女関係の事実を認め、慰謝料を支払う姿勢を見せましたが、妻から、法外な慰謝料を要求されたため(1000万円という金額でした)、交渉は決裂してしまいました。

 やむを得ず、夫は離婚調停の申し立てをしましたが、調停でも、妻は法外な慰謝料の要求を続けたため、離婚調停も不成立となりました。

 当事者同士での、交渉に限界を感じた夫は、専門家である弁護士に依頼をすることに決定しました。

事件終結までの流れ

 弁護士に依頼後、依頼者の夫は訴訟提起をしました。
 争点としては、依頼者である夫が別の女性と男女の仲になった時点で夫婦間の婚姻関係が破綻をしていたかどうかです。

 裁判所は、家庭内別居の事実を認定し、依頼者である夫が別の女性と男女関係にあった時点では、夫婦間の婚姻関係は破綻をしており、慰謝料の請求は認められないと判断しました。

 もっとも、財産分与の判断として、100万円の支払い義務があると判断をし、依頼者の夫に100万円の支払いを命じました。

 判決内容によると扶養的な意味合いが考慮されたものと思われます。

 

解決のポイント

 離婚の交渉に入る場合、できるだけ早い段階で弁護士に依頼をして、早期に解決をするのが当事者双方にとって望ましい解決といえます。

 ところが、本件のケースは、当事者同士で調停段階まで離婚の話し合いを続けたにもかかわらず交渉が決裂してしまったケースで、弁護士は離婚訴訟の段階から関与しました。
 離婚訴訟で離婚が認められるためには離婚原因が存在しているかどうかが重要となりますが、本件では、訴訟提起の時点で婚姻関係が破綻していることには争いはなかったため、慰謝料請求が認められるかどうかが争点となりました。

 また、不貞行為をした当事者からの離婚請求は原則として認められません。これを有責配偶者と言います。もっとも、本件では、妻は離婚自体を争っていないこと、男女関係に至った時点で夫婦関係が円満な状態ではなかった可能性があることからすると、離婚が認められない事案ではありませんでした。

 夫側の弁護士としての活動は、男女関係に至っていた時点において、夫婦間の婚姻関係がすでに破綻をしていたことを立証することにあります。夫婦間の会話がなかったこと、妻がコミュニケーションを避けるような言動をしたこと、夫婦間に性交渉が存在していないことを主張したところ、裁判所は婚姻関係の破綻を認定しました。

 もっとも、慰謝料の調整的意味合いもあるかもしれませんが、裁判所は扶養的財産分与として、100万円の支払いを命じました。

弁護士の目

 離婚は通常、協議離婚、調停離婚と話し合いで進みますが、今回のように妻が法外な慰謝料を請求してくる場合には、訴訟によって判断をしてもらうしかありません。裁判では、適切な慰謝料(あるいは金銭給付)を認定してもらうために主張立証を尽くす必要があります。

不貞行為の慰謝料の相場については、150万円から300万円の間とされています。

 もっとも、不貞行為といっても、その態様はさまざまであり、不貞行為当時の夫婦間の関係、婚姻期間、不貞行為の期間、相手方の対応などの要素を総合して判断をすることになります。
この場合、不貞行為をした当事者の方から積極的に婚姻関係が破綻をしていたと主張をしなければなりませんから、専門家に依頼をし、事実関係を精査することで、法的な主張をするしかありません。

 今回のケースでは、裁判所は家庭内別居の事実を認定して、男女関係に至っていた当時の依頼者である夫と妻との間の婚姻関係は破綻をしていたものとして、妻からの慰謝料請求を否定しました。

 もっとも、裁判所は実質的な公平を考慮して、財産分与として、100万円の支払いを命じました。
また、今回の事案では、別居後、夫は多額の婚姻費用を支払っていましたので、その支払い状況なども考慮されたと考えられます。

 いずれにせよ、訴訟段階では専門的な法的主張が不可欠ですから、訴訟に至る段階では、弁護士に依頼をすることは必須と言えます。

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