養育費

夫婦が離婚した場合でも、子供がいる場合、子を養育している親に対して、養育のための費用を支払わなければなりません。養育費とは、子供が社会人として自立するまでに必要となる費用です。   

衣食住の経費や教育費、医療費、娯楽費など、自立するまでに必要となるすべての費用を養育費と呼んでいます。

養育費の金額については、当事者が合意をすればいくらでもいいですが、金額の目安として、簡易算定表があります。

裁判実務での話し合いだと、基本的には簡易算定表をベースに養育費の金額を決定しています。もちろん、ケースバイケースですので、子供の養育に特別の費用が掛かるなどの事情があれば、それ以上の金額となるケースは存在します。

養育費は子供の養育のための金銭給付ですので、安易に譲歩をするべきではありません。
養育費の金額が少し違うだけで、最終的にもらえる金額は大きく異なることになります。例えば、子供が5歳で、養育費が20歳までと言うケースでも、養育費が1万円異なるだけで、もらえる合計額は180万円も違ってきます。

養育費がもらえる期間ですが、裁判実務では、20歳ということがほとんどです。
18歳となるケースや22歳となるケースもありますが、ベースとしては、20歳を基準に考えてください。20歳まで養育費を認めて、大学に進学をする場合には、必要な学費は協議で決定するということもあります。

交渉事件の場合、養育費の合意をする場合には、公正証書で作成をする必要があります。
離婚後、養育費の支払いを確実なものとするために、公正証書で作成をして、強制執行が可能な状態とする必要があるためです。

調停事件や裁判となった場合には、養育費の支払いが認められれば、自動的に強制執行が可能な状態となります。

実際にも未払いとなった場合には、強制執行手続きに移行することになります。
履行勧告と言う制度もありますが、任意の履行を裁判所に勧告してもらうだけで、絶対的な効力があるわけではありません。そこで、強制執行の申立てをする必要があります。通常、差押えの対象は給料債権であることがほとんどです。

養育費については、給料債権の2分の1を差し押さえることができます。
通常の債権であれば、4分の1の範囲にとどまるため、これは法律上かなり保護されていると思われます。

このように保護されている養育費ですが、途中から支払わなかったところ、妻から何も言われなかったために、そのままにしておいたところ、10年くらい経過するかしないかの頃、突然に強制執行の申立てをされることがあります。養育費の権利そのものは時効にかかりませんので、10年期間が経過しても、養育費の権利そのものが消滅することはありません(もっとも、既に発生をしている具体的請求権、月々の支払い分は消滅することになります)。

また、養育費は破産をしたとしても、免責されるものではありません。そのため、こちらの生活が苦しく、支払ができないという場合でも免除してもらえません。
10年近くも支払っていないとすれば、その金額は相当な金額となります。仮に、月5万円だとしても、600万円を一括で支払わなければならなくなるのです。

この場合、減額のお願いをするのか、分割での支払い交渉をするしかありません。

養育費が支払えない事情が生じた場合には、勝手に支払いを止めるのではなく、養育費減額調停の申立てを速やかにする必要があります。

離婚に関する質問は、お気軽にお問い合わせください離婚に関する質問は、お気軽にお問い合わせください

弁護士法人ラグーンの 解決事例はこちら弁護士法人ラグーンの 解決事例はこちら