共働き夫婦が離婚する場合の注意点
1 はじめに
現在、日本の離婚率は35%といわれ、3組に1組の夫婦が離婚していることになります。そして、近年は、共働き夫婦も増えており、その割合は約70%となっています。
夫婦の離婚時には、財産分与、子供がいる場合には、親権や養育費など話し合いをする事項は多岐にわたりますが、共働き世帯で、特に夫婦の収入に大きな差がない場合には、財産分与や年金分割といった金銭面の問題が多くなると考えられます。
共働き夫婦が離婚する場合、注意するポイントを以下で解説します。
2 財産分与について
「財産分与」は、夫婦が婚姻期間中に築いた財産を、離婚時に公平に分担する制度です。
妻が専業主婦である場合には、婚姻期間に夫が築いた財産は、妻の支えによって生み出されたものということで、夫の財産の2分の1を財産分与として請求することがほとんどです。
しかし、共働き夫婦の場合には、互いの協力によって、双方が財産を築いたということになりますから、当然夫婦2人の財産を2分の1ずつ取得することになります。
婚姻期間中に、「財布が別」というかたちで管理していたとしても、財産分与に影響はありませんので、「財布が別」であったことを理由として、財産分与に応じないということはできません。
妻に300万円の預金があり、夫には100万円の預金があった場合、夫婦の財産は合計400万円ということになります。そうすると、400万円÷2=200万円で財産分与をすることになりますから、この場合には妻が夫に100万円を渡すという形で財産分与をするのが原則となります。
もっとも、夫婦が婚姻前に築いた財産は、特有財産といって、財産分与の対象となりません。上記の場合で、妻の預金が、全て婚姻前に築いたもので、夫の預金のみが婚姻期間中に築いた財産であれば、100万円÷2=50万円の財産分与となり、妻が夫に財産を分与することにはなりません。
3 親権及び養育費について
親権については、それまでの監護実績が重視されますので、共働きであっても、主として子供の監護を誰が行っていたかという観点で決まります。
養育費についても、互いの収入をベースに、算定表で検討することで適切な金額を算定できます。
4 最後に
近年増えている収入が変わらない共働き夫婦の離婚。正しく法律を理解して、解決していくことが必要になります。共働き夫婦で離婚を考えていらっしゃる方で、「私の財産はどうなるのか?」「子供の親権はとれるのか?」などの疑問・不安がある方は、弁護士に相談されることをおすすめします。