20・30代の離婚について弁護士が解説

1 はじめに

ここでは,20代や30代で離婚するといった,比較的「婚姻期間が短い」若い方が離婚する場合の特徴について説明します。

2 財産分与

夫婦が離婚する場合には,夫婦共同の財産を清算する必要があります。これを財産分与といいます。財産分与の対象となる財産は,婚姻してから離婚又は別居するまでに形成されたものです。

(1)退職金

分与の対象となる財産には退職金も含まれます。

しかし,婚姻期間が短い若い夫婦の場合,定年退職までの期間が長期にわたるため,将来支給されるかどうか分からないという不確実性から財産分与の対象には含まれないとされる場合もあります。

(2)不動産

持ち家がある場合,住宅ローンを組んで購入されている方がほとんどであると思われますので,多額のローンが残っている状態での離婚ということが想定されます。持ち家を分与する場合,家を取得する者が取得しない者に対して,家の評価額の半額を支払う方法(価額賠償)により処理することが一般的ですが,家の価額が住宅ローンの額を下回っている,いわゆるオーバーローンの状態であれば,家の価額はゼロと評価されますので,家を取得しない者は価額賠償を受けられません。婚姻期間が短い場合は,オーバーローンの状態である場合がほとんどであると思われますので,価額賠償を受けられない可能性が高いといえます。

さらに,家が共有になっている場合には,夫婦間で不動産の持分の分与を決めたとしても,住宅ローンを組んでいる金融機関との関係では,ローンが残っている状態での譲渡は基本的にはできませんので,その点にも注意が必要です。この場合,家を取得する者が住宅ローンの借り換えを行い,一括して弁済し,共有状態を解消するのが無難な解決であるといえます。

3 養育費

婚姻期間が短い場合の離婚では,お子様が幼いことが想定されますので,養育費も長期にわたって発生することになります。お子様の親権者となる方は,万が一養育費の支払いが滞った時のことも踏まえて,しっかりと取り決めておく必要があります。養育費の支払いが滞った時の備えとしては,給与を差し押さえるなどの強制執行が迅速にできるように,公正証書を作成することや,家庭裁判所の調停を利用して合意をすることが考えられます。

4 最後に

婚姻期間が短い方が離婚を考える場合,不動産をお持ちでない方やお子様がいらっしゃらない方であれば,相手からの離婚の合意さえ得られればさほど問題なく離婚を進められると思いますが,住宅ローンの残る不動産をお持ちの方やお子様がいらっしゃる方は慎重に話し合いをする必要があります。離婚をするにあたってはしっかりと事前準備をしておくに越したことはありませんので,一度,お近くの弁護士にご相談することをお勧めします。

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