親権者と監護権者の変更

親権者と監護権者の変更
 親権者と監護権者の生活環境や収入の変化などにより、子どもの利益と子どもの福祉のために必要がある場合に限り、親権者と監護権者を変更することができます。

 重要なのは、あくまでも子の福祉のために変更する必要がなければならず、親の都合や便宜のために変更されるわけではないということです。

 親権者を変更するときは、たとえ協議離婚であっても、家庭裁判所に親権者変更の調停・審判を申し立てなければなりません。

親権者変更の申し立ては、両親の他、子どもの親族でも申し立てることができます。子ども自身に申し立てを行う権利はありません。 申し立ては、家庭裁判所に対して行い、親権者が変更された場合は戸籍上の変更を伴うので、調停調書か審判調書を市区町村役場に提出して手続きを行います。

親権者変更の基準
親権者変更の基準については、民法で「子の利益のため必要があると認めるとき」と定められています。
そのための基準としては、
 ・養育環境
 ・子どもへの愛情、
 ・現在の親権者の監護態度
 ・現在の親の心身の健全性
 ・子の年齢、心身の状況、精神状態
 ・子の意思

などが考慮されることになります。この場合でも、忘れてはならないのは、子の福祉にかなうものかどうかという視点です。

 監護権者の変更は、父母の合意があれば話し合いだけで行うことができます。 監護権者は、戸籍上に記載事項がないため、市区町村役場に届出を行う必要もありません。詳しくは、監護権者の項で述べています。

親権の喪失
 子どもに対して親権者の責任と義務を果たしていない場合、子どもの親権を喪失することがあります。

 例えば、子どもに対する暴力や虐待、養育の放棄、行方不明、労働の強制などの行為があった場合は、一方の親や子どもの親族、検察官、児童相談所の所長などが、家庭裁判所に親権喪失の申し立てを行うことができます。

 親権者の喪失が認められても、一方の親が手続きなしに親権者になれることはありません。親権者を希望する場合は家庭裁判所で親権者変更の申し立てを行います。

親権者と監護権者の変更のポイント
 ・子どもの福祉と利益のために親権者と監護権者を変更することができる
 ・親権者の変更は、家庭裁判所に申し立てを行わなければならない
 ・監護権者の変更は、父母の合意があればよい
 ・親権者の変更後は、役場で戸籍の変更手続きを行う
 ・親権者の責任と義務を果たしていないと裁判所が認めた場合、親権を喪失する
 ・親権喪失の申し立ては、一方の親、子どもの親族、検察官、児童相談所の所長が行う

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